以前拙絵とともにとりあげた、奥さんが以前に乗っていたプジョー406ブレークの。その次のクルマがフォルクスワーゲン・ニュービートル。
ニュービートル。そもそもはオリジナルビートルことフォルクスワーゲン・タイプ1。
RR。リアエンジン、後輪駆動乗用車の最適解としてフェルディナント・ポルシェが設計したタイプ1の、そのスタイリングを模したガワを。
長らくFF。フロントエンジン、前輪駆動乗用車の模範だったフォルクスワーゲン・ゴルフに無理くり架装した結果、無茶苦茶いびつなレイアウトになり。
特にゴルフのけしてコンパクトとはいえないエンジンを、オリジナルビートルではトランクスペースとして使用されていた運転席前方部へと強引にねじ込んだ為にうまれた。布団でも敷いて寝転がれそうな広大かつ無駄なダッシュボードまわりの空間は、一度乗車した方なら必ず印象に残る唯一無二の風景で。
そのいびつさがかえって。空間設計の余剰スペースなどデザインコンペでは真っ先にケチをつけられるであろう、国産コンパクトカーではまずありえぬ。合理をゴミ箱に叩きこんでスタイリングを優先したがゆえの非日常感へと、結果得も言われぬガイシャっぽさへと変換され印象に残っている一台です。
とはいえ我が家庭にも子供がうまれると、さすがに常用で奥さんが使用するクルマとしては無理がありすぎ。もっと実用的な自動車にその座を奪われたもの、好きか嫌いかでいわれれば「好き」と即答できる一台だと絵にして思い返しました。
余談としてオリジナルビートル、タイプ1。
自動車に詳しくなくとも知らない方など存在しない、自動車メーカーとしてのポルシェおよびフォルクスワーゲンの開祖であるフェルディナント・ポルシェの手による乗用車、KdFワーゲンを基にしているのだけど。
そもそもKdFワーゲンそれ自体、チェコスロバキアの自動車メーカー、タトラが開発したT97のパッケージングやスタイリングひっくるめた模倣という説もあり。
勿論フェルディナント・ポルシェの設計者としての手腕に異をとなえるものなど誰もいませんが。メーカー御用達の広告代理店や提灯評論家のプロパガンダによる「ストイックで妥協を知らない職人気質と天才的な独創性を併せ持ったエンジニアとしてのフェルディナント・ポルシェ」とのイメージには大いに疑問符がつき。ストイックどころか相当生臭い、すこぶる政治的な人物で。
斯様なポルシェのホンネとタテマエの部分は現在にいたるまで、企業体としてのポルシェおよびフォルクスワーゲン連合に犇と遺伝しているのでは。
と、そんな妄言で今年最後の更新をしめようと思います。
来年も公の部分に忙殺されず、個人的な趣味事も続けていけますように。