カテゴリー別アーカイブ: 雑感

実家で見つかった短刀を修復した話

まずは事の起こりから簡潔に記してゆきます。

① 2019年 実家より短刀見つかる
(大学時代の友人がこちらの地元に遊びに来た際、宿泊所に実家の座敷を提供することになり座敷の片付けをしていたとき天袋から短刀見つかる。写真のようにかなり古い)

② 2020年 4月 事前に連絡を入れたうえで所轄の警察に短刀を提出する
(上記のようなケースで見つかった刀剣は殆どが「銃砲刀剣類登録証」未登録の場合が多いので、所轄警察で発見状況などを伝えた上で登録の有無を照会してもらう)

③ 2020年 5月 警察より連絡有り 未登録であるとのこと
(未登録の刀剣が見つかった場合は「銃刀法」銃砲刀剣類所持等取締法の対象になり原則として所持するとこが出来ない)

④ 2020年 同月同日 銃砲刀剣類登録審査会での審査を提案される
(「銃砲刀剣類登録審査会」とは「銃砲刀剣類登録証のない日本刀」に対して、各都道府県の教育委員会が審査する審査会。 審査で合格がでた場合には、銃砲刀剣類登録証が発行される)

⑤ 2020年 6月 「銃砲刀剣類登録審査会」で審査を受ける
(刀剣の現物と警察から発行された「発見届出済証」。加えて必要事項を記入した「登録申請書」を持参し審査会で審査を受ける。 ※余談としてこちらが受けた審査会には思っていたより多くの参加者、10人弱の参加者がいて槍を持参していた人もいた)

⑥ 2020年 同月同日 審査の結果認められず
(理由として、見つけた短刀は「昭和刀」と俗称される。刀身が鍛錬されていない刀剣の為、美術工芸品としての登録に値する刀剣とは認められず)

⑦ 2020年 同月同日 放棄を告げられる
(刀剣登録は認められないが、刀として銃刀法違反にあたるため速やかに所管の警察での所持放棄手続きを告げられる)

⑧ 2020年 7月 事前に連絡を入れたうえで所轄の警察に再度短刀を提出する
(上記の結果を伝えた上で放棄手続きをお願いする)

⑨ 2020年 同月同日 「刀身のみ放棄」提案される
(銃刀法違反に抵触するので刀身は放棄しなけらばならないが、鞘などの作りは廃棄するには勿体無いレベル。刀身のみ放棄して残りの部分は残しておいても損は無いと提案される)

⑩ 2020年 10月 「刀身のみ放棄」刀身以外手元に戻る

と。2020年の時点で一旦これらの案件は保留となりました。

理由はここでも何度か記していますが翌年父親が脳梗塞で倒れ、高次脳機能障害も併発し重度要介護状態となり。こちらは通常通り自営業をしながら同時進行で父親を介護する生活が始まりそれどころではなくなったのです。

そして以前にも記しているように父親を看取り膨大な責務もなんとかかたずけ、ようやっと余裕も出てきたので3年保留していた案件に取り掛かることに。

インターネットで調べ、詳しい知人に相談をして。ここならと思えたG県の刀剣工房に短刀の写真を電子メールに添付して連絡。
何度か電子メールのやり取りをした結果。「模擬刀」(居合道の稽古用として材質や安全面に考慮して作られたもの)を刀身にしたうえで修復していただくことに。

そして工房に発送したのが昨年冬。それより半年あまり経過し修復をおえ手元に戻ってきました。

修復作業の中心は刀身の新調ですが工房にアドバイスをいただき鎺(ハバキ)も新しくしつらえました。銅や真鍮といった選択肢もあったのですが、刀剣として実際に使用することも無いので色のバランスを優先し銀製にしました。

肝心の刀身。工房より何種かの刃文を提案されたのですが、これだけは実際に仕上がった現物を目の前にしないとなかなか分かりません。
一番手堅く直刃(すぐは)をお願いしました。
いかにも綺麗めでない仕上がりが刀装とあっているかと。

こうして修復をおえ手元に戻ってきた短刀。
いずれ娘に託そうと思っています。不動産などと違ってこの程度のものだったら所有するにもそれほど負担は無いでしょうから。

ブリヂストン・モールトン

以前に記したように四輪のほうの所有車。マツダ・ロードスターNB型以外にも二輪のほうでGIANT製の「MR4 R」という折りたたみ機構の変わった自転車を所有しているのですが。
しかして実は同車を購入する際の候補として散散悩んだ自転車が一台ありまして、それがブリヂストン・モールトン。
ブリヂストンサイクル株式会社が英国のアレックス・モールトン・バイシクルズよりライセンスを得てアレックス・モールトン製第一世代、F型小径自転車を。現在のアルミ押し出し形成や溶接技術、タイヤの転がり抵抗軽減化など最新の技術で往年の傑作小径自転車をリプロダクトした製品。
ブリヂストン・モールトンとMR4 Rとを当時散散悩んだ末に結局後者を選択したもの。前者を選択しなかった未練は20年近く経た今なお燻り続け。
そして昨年趣味のお絵かきでモールトン自転車を小道具にかいたことがきっかけで、燻り続けていた未練の熾火が天を焦がす勢いになり。ここまで猛烈な劫火になってしまえばあとはもう思いを貫くほか無く。
とはいえもう生産自体は終了しているので正規販売という手段は無く、中古市場で良い出物を探し続け遂に購入と相成りました。
脇道にそれますが、現在の中古車市場。往年の国産スポーツカーのいくつかは程度によって新車時販売価格をはるか上回るどころか当時の数倍のプライスタグがつけられている現状があるのですが。二輪車も言うに及ばず、このブリヂストン・モールトンも発売当時価格の倍近い値段で購入したもの決して後悔はしておりません。
もしもあるならば後悔ではなく反省として、其の頃のわたしに「なぜブリヂストン・モールトンを選ばなかった」と、当時の自分自身の目利きの無さに意見したい。

しかるにさりとて紆余曲折を経て所有車となったブリヂストン・モールトン。
かねてよりの所有車であったロードスターの出自とも近しいものがあり、並べたときの相性が存外よい。